コラム孫右ヱ門

全国茶品評会 お茶の優劣はどうやって決めるの?


2017年9月26日

九月の上旬、長崎県大村市において全国茶品評会が行われました。
全国茶品評会は、全国の茶産地から出品された茶の中から審査を行い、その年の優秀な茶を選定するお茶の甲子園のようなものです。
弊社も農林水産大臣賞を目指し、丹精を込めたお茶を毎年出品しております。
今年は2等1席、順位は全国7位という結果となりました。
1位〜6位までが1等入賞。
7位からは2等となります。
惜しくもあと1席で1等入賞というところでしたが、残念ながらあと一歩というところで一等には届きませんでした。
団体としては、城陽市が産地賞(全国で1番の高品質な産地に与えられる賞)を獲得しました。
なかなか一等を獲らせてもらえませんが、一等一席を獲得するまで挑戦し続けます。
さて、このお茶の品評会ですが、いったいどのようにして順位を決めているのでしょうか?
今回は、お茶の品質審査と鑑定方法についてお話しします。

お茶の優劣は、「美味しい」「香りが良い」など人の味覚や嗅覚に係る部分が大きいだけに、分析機器を用いた科学的審査では十分明らかにできません。
そのため、茶品評会では熟練の茶審査技術を持った審査員が官能検査によって、茶の優劣を比較し、審査を行っています。
抹茶の場合は、石臼で挽く前のてん茶の状態で審査します。

審査項目は、
1.外観(形や色)
2.香気(お湯で浸出した時の立ち上る香り)
3.水色(お湯で浸出した時のお茶の色)
4.滋味(お茶の味)
5.から色(審査はてん茶のみ。お湯で浸出した後の茶殻の色)
の5つの項目があります。
点数は一番良いお茶が200点満点で、減点方式で評価していきます。
今回全国茶品評会では、外観(40点)、香気(65点)、水色(20点)、滋味(65点)、から色(10点)の合計200点満点で審査されます。

⒈外観
お茶の良し悪しは、製造の適否や品質が外観に出ることから、まず外観(形や色)から審査を行います。
拝見盆と呼ばれる黒い角盆に適量の茶を入れ、お茶の形状と色を見ます。
てん茶の場合は、明るく冴えた濃緑で、赤みがなく、白っぽくないもの、触るとふわっとしていて柔らかな感触のものがよしとされています。
2.香気
白磁の審査茶碗に茶葉を3g入れて熱湯を注ぎ、ネットで茶葉をすくい上げて、その香りを調べます。
てん茶は青海苔のような香り(覆い香)と新鮮味が程よく調和した香りがよしとされます。
3.水色
白磁の審査茶碗に茶葉を3g入れて熱湯を注ぎ、5分間静置させた後茶殻を取り除き、色やにごり、底に溜まった沈殿物の多少を判別します。
てん茶は淡い黄青色で赤みが少なく、濃度感のあるものがよしとされます。

4.滋味
水色と同じ方法で茶殻をのぞいたあと、スプーンですくって口に含み、味を確かめます。
てん茶は、旨味と甘味(覆い味)が多く温和なものが優れているとされます。

5.から色
湯で浸出した後の茶殻の色調や均一性を見ます。
青く冴えた明るい色調で、染まりが均一のものが良いとされます。
全国茶品評会の上位ともなると、どれも非常にレベルの高いお茶揃いになります。
ですから、優劣をつけるためにもこのように細かな審査項目が設けられているのです。

お茶屋さんに行くと、全国茶品評会○位入賞茶など書かれているのを目にすることがありますが、これはそのお茶が先ほどのような審査の評価基準を満たしている良質なお茶だということです。
品評会での審査基準は、ご自信でお茶を選ぶ時の一つのポイントとしても役立ちますね。
でも、お茶の「美味しい」は人ぞれぞれです。
審査基準はあくまで品評会の基準ですから、ご自身が一番美味しいと思われたお茶が、その方にとって一番のお茶なのだと編集担当は思います。