コラム孫右ヱ門

茶香服(ちゃかぶき)


2018年2月9日

先日TBSの「マツコの知らない世界」という番組でも紹介されましたが、皆さま「茶香服(ちゃかぶき)」はご存知でしょうか?

孫右ヱ門でも度々イベントで行なっておりますが、「茶香服(ちゃかぶき)」は産地を伏せた5種類のお茶を、五感を使って利き分ける競技です。
茶香服(ちゃかぶき)は別名「闘茶」とも言って、南北朝時代から室町時代中期にかけて、武家や公家、僧侶の間で流行しました。
当時の茶香服(ちゃかぶき)は京都の栂尾(とがのお)のお茶を本茶、それ以外を非茶(ひちゃ)と呼び、「本・非」を飲み当てるゲームでした。

「闘茶」が普及するにつれ、賭け事として徐々にエスカレートしていきます。
しまいには高価な品や家財を賭けて、人生を棒にふるものまで現れる始末。
「闘茶」は社会問題となり、とうとう足利幕府が禁止令を出すに至ったほどです。

そんな茶香服(ちゃかぶき)ですが、茶業者が茶の鑑定技術を高める一環として現在も行なわれています。
いよいよ今日から平昌オリンピックがはじまりますが、お茶にもオリンピックのようなものがあり、
「全国茶審査技術大会」という茶審査技術を競う大会が毎年行われています。
生産家や茶問屋、お茶を知り尽くした人たちの壮絶な戦いです。

今は3月の京都府大会に向けて、城陽、京田辺、宇治、小倉、和束など、京都府内の茶産地の茶業青年団で予選会が行われています。

城陽の茶業青年団では週に2回、45歳までの茶生産家、茶問屋などが参加し、茶香服の練習を行なっています。
茶香服(ちゃかぶき)では「花・鳥・風・月・客」それぞれ産地の違う5種類の玉露と煎茶を利き当てます。
TBSの「マツコの知らない世界」でマツコさんもチャレンジされていましたが、これがなかなか当てられないのです。
一度入れた札は元に戻すことができません。
それも茶香服の難しいところです。
普通は「花・鳥・風・月・客」の札を使って茶香服を行うのですが、宇治の小倉地区では、玉露発祥の地ということで「玉露製元祖」という札を使うそうですよ。

編集担当も今年からこの予選会での練習に参加しています。
碾茶日本一の産地賞を獲得した城陽の生産家、茶問屋が集まるのですから、予選会といえどハイレベルな真剣勝負です。
各茶業青年団から、予選会で成績の良かった人を京都府大会に送り出すのです。
こうして、茶香服の練習を重ねるごとに若い世代の茶業者たちに「お茶を見る目」が養われていきます。
鎌倉時代から続く茶香服ですが、こうして現代でも茶の目利きの技術を磨くために受け継がれているのです。