コラム孫右ヱ門

ひとびとvol.3 藤井忠さん


2015年5月16日

今回は、孫右ヱ門と深い関わりがあり、世界を駆け巡る料理人兼イベンター、茶道師範など様々な顔を持つ若き料理人、藤井忠さんをご紹介します。

藤井 忠さん(フリーランス料理人、茶道裏千家師範、華道嵯峨御流師範)

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Q1.孫右ヱ門との関わりを教えて下さい。

孫右ヱ門とは、4年前に京都の知人の集まりで出会いました。

そして、2013年に僕が代表を務めるYUIの活動の一環として、イギリスでのイベントにお誘いし、ほんず抹茶を提供していただきました。

その翌年には、フランス、モナコ、チェコでのイベントを一緒に行いました。

僕は昨年まで、半年をモナコ、残りの半年を日本で過ごすという生活をしていて、2年前から日本にいる間、時々、孫右ヱ門の茶園のお手伝いをさせていただいています。

 

Q2.孫右ヱ門で茶の生産に携わろうと思われたのはなぜですか?

僕は料理人ですから、美味しい野菜がどのようにして作られるのか関心を持っています。

土から野菜ができるのと同じで、もちろん茶も土からできます。

おいしいお茶がどのようにして作られるのか、そこに携わることで肌身で知ることができると思ったからです。

はじめて茶園で「藁振り」の作業を手伝わせてもらった時は、不安定な足場に立つのが怖くて怖くて。藁振り作業は今年で3回目ですけど、ようやく慣れてきましたね。

最高級の抹茶を作るのが大変な作業なのだと、日々肌身で感じています。

 

Q3.孫右ヱ門六代目と様々な場面で一緒にお仕事をしていただいていますが、藤井さんから見た六代目はどんな人ですか?

素直で素朴で天然(笑)

でも、茶の生産へのこだわりは凄いです。昔ながらの製法を守っていく意識の高さには凄いものを感じます。

熱い思いのある仕事を一緒にさせていただいて、魂が鼓舞されますね。

 

Q4.孫右ヱ門の「ほんず抹茶」を飲んだ感想は?

僕は長年茶道に携わってきましたが、こんなおいしい抹茶を口にしたのは初めてでした。一番上級に位置する「ほんず抹茶」が、お茶の質を見極めるバロメーターとなりました。

 

Q5.海外で日本文化を広める活動をするYUIですが、そのような活動をしようと思ったきっかけは何ですか?

世界では、漫画、アニメやコスプレなど、日本のPOP cultureは普及しています。

でも、日本の伝統技術、文化、継承が危ぶまれている中、世界で活躍する日本人や日本の伝統技術・文化を世界に伝えようとする職人達とコラボレーションして、世界に”ほんまもん(本物)”の日本の伝統を伝えていきたいと考えたからです。

 

Q6.藤井さんは料理人である他に、茶道裏千家師範、華道嵯峨御流師範をお持ちですが、茶道や華道に携わるきっかけは何だったのですか?

僕は17歳で単身モナコに行きました。海外で過ごしていると、外国人から日本の文化について聞かれることが多々あります。日本の文化について聞かれてもまともに答えられなくて、歯がゆい思いをたくさんしました。

それが、茶道や華道を始めたきっかけです。

和食が無形文化遺産になり、日本もグローバル化しつつあるなか、日本人が日本の事を知らないということは多々あると思います。グローバル化することは、今後の日本成長に向けて重要な事ですが、同時に、日本を知る事も忘れてはいけないと常に思っています。

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Q7.藤井さんの2015年はどのようなものになりますか?

料理、茶道の両方で、孫右ヱ門とコラボレーションし、イベントを展開していく予定です。

まずは5月10日、5月17日の孫右ヱ門Presents.お茶摘み体験ツアーにて、松花堂弁当「富貴の春」を担当しています。そして現在は、京都嵐山の高級ホテルで孫右ヱ門とのコラボレーションイベントを考えています。今後を楽しみにしていてください。

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Q8.藤井さんの将来の野望を教えてください。

まず茶道家としてですが、茶道の精神、本質は曲げないで、新しい見せ方をしていきたいです。

茶道には細かな決まりがあります。例えば、夜咄は本当は冬限定のものであるとか。

そういった決まりや垣根を取り払って、もっと驚きやユーモアを織り交ぜた新しい見せ方をしていきたいです。

料理人としては、今はフリーで茶懐石や寿司懐石などのケータリングを行っているんですが、将来は京都の山奥でひっそりと、外国人相手にお料理を振る舞うお店をやりたいですね。もちろん茶室も作りますよ。

お料理を食べて、お茶も楽しんでもらえる、そんなお店をやりたいですね。

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多才な若き料理人、藤井忠さんの今後が楽しみです。

 

<藤井忠さんプロフィール>

15 歳で東京の広尾にある寿司屋で修行。

二年半の修行を経て、18 歳で単身渡仏、モナコで老舗の日本食レストランLe Fuji で6 年間学び、和食を本格的に学ぶため、日本に帰国。

大阪ヒルトンプラザウエストホテルの日本料理店で働く。

モナコへ戻り、副料理長として働く。

2013年、日本の伝統文化を海外で広めるために、日本の職人たちを集め団体YUIを結成。代表を務める。

同年、イギリスの高級ホテルにて、Japan Festivalの企画を立ち上げる。

ブルネイ皇族関係者に高級抹茶懐石を、原尻料理長と共に振る舞う。

同年、ロンドンのチェルシーにある、高級会員制クラブで開催された震災charityイベントで、お寿司を提供。

日本では茶懐石をメインとした出張料理人。

料理人の顔だけではなく、趣味の域をこえて、華道、茶道にも精通し,モナコの日本庭園で茶道を披露。

茶道裏千家師範、華道嵯峨御流師範を持つ。

歳時記vol.2. 茶摘みがはじまりました


2015年5月1日

地元の氏神様である水主神社の西側に、当社の茶園の一画があります。

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5月1日、よく晴れて空気が少しひんやりとした朝。
午前6時を過ぎると、自転車や軽自動車に乗って、近隣から続々と茶園に人が集まってきました。

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「いやぁ、元気しとった?」
「今年も顔見れてよかったわぁ!」
一年ぶりに顔を合わす摘み子さんたちの声で、辺りはにわかに賑わいました。

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覆いで囲った茶園に足を踏み込むと、ふわぁっと甘い薫りに包まれます。

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いよいよ今日から茶摘みがはじまります。

茶摘みがはじまった今日、当社が位置する城陽市内の小学校では、「八十八夜献立」ということで、碾茶(てんちゃ)を使った「茶めし」と「茶葉のローストチキン」が出るそうです。
さすが茶どころですね。

さて、今年も本格的に茶のシーズンが始まりました。
今年はどんなお茶ができ上がるのか、楽しみにしていてください。
(碾茶てんちゃ…石臼で引き上げる前の、抹茶の原料となる原葉)