コラム孫右ヱ門

月別: 2015年10月

歳時記vol.5 口切の茶事と壺荘り(つぼかざり)


2015年10月16日

「口切や南天の実の赤き頃」

南天
夏目漱石がこう詠んだように、木々の実が色づきはじめる11月頃、茶道では茶人の正月とも言われる「口切の茶事」を行います。

この頃、宇治茶師に預けておいた茶壺には、初夏に摘んだ新茶が詰められ、封をして、茶家の元に届けられます。

「口切の茶事」では、この茶壺の封を切って、当年初の濃茶を点てます。
11月は炉開きの時期でもあり、「口切の茶事」では、当年初の新茶を口にできる喜びを分かち合う祝意を持って執り行われることから、茶人の正月と言われているのです。

「口切の茶事」で主役となるのはこの茶壺。
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茶師は茶壺の中に、半袋(はんたい)という和紙の袋に入れた濃茶用の碾茶を収め、その周りに「詰め茶」と言われる薄茶用の碾茶を詰めます。
そして、蓋をした上、三重に和紙を貼って封印し、秋になると茶家の元へ届けます。
茶家は届けられた茶壺に「口覆(くちおおい)」と呼ばれる四方形の布をかぶせ、紅か紫の組紐で亀甲形に編んだ網かけの袋を被せて床の間へ荘ります。
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茶壺網かけ
口切りの茶事では、亭主が最初に網かけの袋を解き、茶壺の口を小刀で切って、中に詰められた濃茶を取り出します。
その後、亭主が再び封印をします。

一度口を切られた茶壺には、網ではなく、長緒、乳緒(ちお)と呼ばれる紐で紐荘りを施します。
茶まつり茶壺
紐の結び方は、表千家と裏千家では少々異なりますが、どちらも大変複雑なものです。
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この複雑な紐荘りは、茶壺を華やかに彩るだけでなく、毒が混入されたりしないよう、保管するための鍵の役割もあります。
茶壷中央、長緒の結びは、輪がいくつも重なって、複雑に見えますが、紐の端を引くと、絡まずにするすると解けるように結ばれています。
結びを知らない人が形だけ真似をして結んでも、次に紐を解くときに絡まってしまったら、誰かが手をつけたことが分かるというわけです。

また、この紐飾りは正面と左右それぞれ違った結び方で、茶道を知る方なら馴染みのある「真・行・草」の心を表しています。
写真は裏千家の壺荘りです。

正面:「真の紐型」両(もろ)なわ結び
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上座(向かって右側):「行の紐型」総角(あげまき)結び
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下座(向かって左側):「草の紐型」淡路結び
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茶道の世界では、この「真・行・草」という言葉がよく使われます。

「真・行・草」とは、もともと書道の真書(楷書)、それを少しくずした行書、さらに行書をくずした草書の三段階の筆法を示したものですが、日本人の美意識を表す表現として茶道をはじめ、絵画表現、折形、庭や建築のデザインなどにしばしば用いらます。

「真」は基本となる型で、最も格式高く整っている。
「草」は、「真」の対極に位置し、型破りなもの。
「行」はその中間で、基本を踏まえながら異なるものを取り入れている。

例えば、茶道の道具でいうと、高貴な人々や神仏に茶を奉る場合に使う唐物道具(中国伝来の道具)を「真」、そうした唐物道具をモデルとした国焼の陶器類などを「行」、そして「真」とは真逆で、土を感じさせる国焼の陶器や竹、木など自然の素材をそのままを生かした道具類が「草」ということになるそうです。

紐荘りひとつとっても、様々な意味がある茶道の世界。
大変奥が深いですね。
紅葉

さて、孫右ヱ門ではこの度、初夏に摘んだ自園の碾茶を茶壺に詰め、適正な温度管理のもと保管してまいりました。
丹精込めて育てた碾茶は、夏を越え、秋が深まるとともに、その味や香りを深めていっております。
そんな熟成されてまろやかになったお茶を味わっていただきたく、秋の深まる頃、孫右ヱ門オリジナル「口切りの儀」を催します。
六代目孫右ヱ門による茶壺の口切りをご覧いただき、裏千家師範 宗忠によるお点前と4人の陶芸作家による茶碗で濃茶を愉しんでいただきます。
石臼で碾茶を挽く「挽き茶」の体験も予定しております。
秋の良き日に、ぜひ京都城陽まで足をお運びください。
もみじ
【日 時】10/25(日)14:00~ または、11/1(日)14:00~(11/1は定員に達しました。)
※13:30近鉄富野荘駅改札口前集合 車にて会場まで送迎いたします。
※終了予定時刻は両日とも17:30を予定しております。

【場 所】株式会社 孫右ヱ門 京都府城陽市水主南垣内20-1

【参加費】3,500円

【参加方法】事前にメールまたはお電話にてお申し込みの上ご参加ください。
※お申し込みは開催日の5日前までにお願いします。
Mail:magouemonkyoto@gmail.com
TEL:0774-52-3232(平日9:00~18:00)

今回行う口切りの儀は、孫右ヱ門オリジナルのものであり、炉を用いず、正客をたてるものではございません。
茶道本来の口切りの茶事とは異なる部分がありますことを、予めご了承願います。
また、茶道が初めての方もご参加いただけるよう、懐紙など持ち物も必要ございません。
服装もご参加いただく皆様の自由とさせていただきます。

口切り… 六代目孫右ヱ門 太田 博文
お点前… 裏千家師範 宗忠 
お菓子… 溝井 茂
陶芸作家…
茶碗:清水 志郎 http://www.shimizuke.net/index.htm
瀬津 純司 http://junjisetsu.jugem.jp
前田 直紀 http://naokimaeda.strikingly.com
皿: 山本 順子 http://homepage2.nifty.com/potter-j/index.html

お問合せは、
株式会社 孫右ヱ門 京都府城陽市水主南垣内20-1
0774-52-3232(平日9:00~18:00)
magouemonkyoto@gmail.com