コラム孫右ヱ門

ひとびとvol.6 阪口 理恵さん


2016年10月24日

孫右ヱ門とお付き合いのある人々に編集担当がインタビュー。
様々な視点から見た孫右ヱ門を語っていただきます。

今回は、孫右ヱ門のホームページやリーフレットの英語訳、孫右ヱ門ツアーの外国語通訳を担当してくださっている阪口理恵さんです。

<阪口理恵さんプロフィール>
翻通厨房 RIESRAUM
ドイツ語/英語⇔日本語 翻訳&通訳
貿易アドバイザー/フードコーディネーター

Q1.孫右ヱ門との出会いを教えてください。
もともとお茶が好きだったんですけど、日本茶というよりはむしろ紅茶派でした。
通訳の仕事をする中で、日本茶の説明を要されることがあって、日本茶の知識が必要だと思ってた折、
知人の主催で茶香服というイベントがあることを知って参加しました。
茶香服は五感を使って5種類の茶の産地を当てるゲームです。
それが孫右ヱ門さんとの出会いでした。

今まで産地の違いなど考えたこともなかったので、日本茶=お茶という認識で(笑)
どれもさほど変わりはないと思っていたのですが、それぞれのお茶の違いに本当に驚きました。
日本茶の奥深さに驚き、とてもおもしろいと思いました。
%e7%90%86%e6%81%b5%e3%81%95%e3%82%93普段生産者さんのイベントに参加しても、自ら話し掛けに行くということはないのですが、
お茶の奥深さにあまりに感動して、思わずイベントが終わってから孫右ヱ門さんに話し掛けに行きました。
その時は現在のようにフリーランスではありませんでしたが、「通訳等必要でしたらお声掛けください」とだけお伝えしました。
その後も孫右ヱ門さんのイベントに幾度か参加しましたが、あるとき孫右ヱ門さんからホームページの翻訳をお願いしたいとの連絡が入りました。
初めてお話した時に、孫右ヱ門さんが「通訳が必要になったらお願いします」と言われましたが、てっきり社交辞令だと思ってました。
まさか本当に仕事の依頼が来るなんて思っていませんでした。

Q2.孫右ヱ門の翻訳のお仕事で、大変だったこと等ありましたか?
まずお茶ついて勉強しながら翻訳しなければならなかったのが大変でした。
生産者やその道のプロがニュアンスで分かっているものを、自分に落とし込み、それを別の言語に翻訳するのは難しいことです。
まずはお茶について勉強しながら、孫右ヱ門さんの言葉をはっきりと把握することから取り組みました。
%e7%bf%bb%e8%a8%b3products例えば、孫右ヱ門さんが言う「抹茶の黄緑色」ですが、ひとえに黄緑色と言っても、黄色よりなのか、緑よりなのか、蛍光色っぽいのか、、、様々です。
孫右ヱ門さんが指している黄緑色がどのような色なのか、きちんと把握しなければ正しく伝えることはできません。
また、出汁を日本人に説明するのは簡単だけど、外国人に説明するのは、まず鰹節がどうやってできているのかから説明しなければならないように、日本人ならすぐにわかるようなことでも、それを文化の異なる外国語に訳すとなると、どうしても文章が長くなります。
いかに、孫右ヱ門さんの茶づくりに対する情熱、熱意を正しく伝えられるかということ。
なぜ「ほんず抹茶」というものがこれだけ高価なものなのか、読んだ人に正しく理解していただけること。
ここに一番神経を配りましたね。

Q3.阪口さんから見た六代目孫右ヱ門はどんな人ですか?
一言で言うと「芸術家」(笑)
他の生産者さんと比べて、孫右ヱ門さんの表現はとても絵画的です。
過去にアーティストの方の翻訳を経験しましたが、孫右ヱ門さんの表現はそれに似ていると思いました。
孫右ヱ門さんの言葉を風景として頭に描くことは容易なのですが、文章として具体化するのはとても難しいです。
絵画のような言語表現の断片を、組み直して日本語にしてから、それを英語に翻訳すると言う作業が必要でした。
%e7%bf%bb%e8%a8%b3kodawari
Q4.今後の孫右ヱ門に期待することはなんですか?
今のままブレることなく、ホンモノを作り続けてもらいたいと思います。
私の役目は、孫右ヱ門さんが表現する映像を、観客がありのまま受け止められるようにスクリーンをピンとまっすぐ張るようなことだと思っています。
プロダクトが良ければ良いほど、いかに正しく見てもらうか、裏方の仕事が大切になってくると思います。
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Q5.阪口さんの今後の野望を教えてください。
日本人にも知られていない日本の美味しいものを掘り起こし、日本語、英語、ドイツ語なんでもいいですが、自分の語学という力を使って、普通に近所の人が接するようなリアルさで伝えたい。
それをライフワークにしていきたいです。
もともと「食」に携わっていたいと思っていましたが、孫右ヱ門さんとの仕事を経験し、作り手の気持ちを伝える喜びを知ることができたのは私にとって大きな衝撃でした。
孫右ヱ門さんとの仕事が、そうした「食」を伝えることをライフワークにするきっかけとなったのです。
%e3%82%ac%e3%82%a4%e3%83%89%e7%90%86%e6%81%b5%e3%81%95%e3%82%933ひと針の手仕事のように、作り手の心までも丁寧に伝える阪口さんの翻訳は、孫右ヱ門HP英語版で見ることができます。
http://www.magouemon.com/en/