コラム孫右ヱ門

月別: 2018年8月

お茶と水のお話


2018年8月26日

お茶を淹れるとき、皆さんはどのようなお水を使いますか?
水道水?ミネラルウォーター?
水質はお茶の味を変えてしまうと言われています。
今回は、意外と奥が深いお茶と水のお話です。
夏休みも終盤となり、お子さんの宿題の手伝いに追われている方もいらっしゃるかと思います。
夏休みの宿題といえば、読書感想文に自由研究。
皆さんもご経験があるかもしれせんが、時間のかかるもの程、後回しにしてしまいがちですよね。

コラム担当の息子も例に漏れず(笑)自由研究を後回しにして、今頃テーマに悩んでいました。
我が家では職業柄、年中様々なお茶を急須で淹れて飲みます。
夏場はずっと「てん茶」の水出しを当たり前のように毎日飲んでいるという贅沢な我が子です。
息子と相談する中で、何かお茶についての研究をする、ということになりました。
そこで、息子がテーマに決めたのは「水の違いによるお茶の変化」の実験です。

硬度304mg/Lの硬水、硬度15mg/Lの軟水でそれぞれ日本茶(煎茶)と紅茶を淹れて、色や味、香りの違いを確かめてみることにしました。

水の硬度というのは、水1リットル当たりのマグネシウムとカルシウムの量(mg)を示したもので、硬度120mg/L以下が軟水、120mg/L以上が硬水(WHO世界保健機構基準)とされています。

日本の水道水は、軟水から中程度の軟水です。
水道水の硬度が地域によって異なっているのはご存知でしたか?
城陽市にある我が家の水道水は50mg/L以下の軟水ですが、実は関東地方の水道水の硬度はかなり高めなのです。
全国の水道水の硬度は、こちらのページで見ることができます。

実験の結果、硬水と軟水では大きな違いが見られました。
紅茶の場合、画像では分かりにくいですが、硬水で淹れた水色は少し黒っぽくになり、少し白く濁っていました。
香りは強く、ザラリとした口当たりで淡白な味になりました。
一方、軟水で淹れた紅茶の水色は、透明感のある美しい赤橙色で、香りはさっぱりとし、味はとてもまろやかな中に紅茶特有の渋味を感じました。
日本茶の場合、軟水で淹れた水色は済んだ黄色となり、硬水で淹れたものは紅茶と同じく、少し白く濁ったようなものが出てきました。
味は軟水より、硬水の方が渋みがなく淡白な味になりました。

同じ水でも硬度によってこれだけの違いが生まれます。
硬水は鉄分など様々なミネラルを含んでいます。このミネラルがお茶の渋み成分であるタンニンと結合すると、色が悪くなりますが、その反面渋みが抑えられるようです。
硬水で淹れたお茶が淡白だと感じたのはこのせいですね。
煎茶はさっぱりとした苦渋みと旨みの調和を楽しむ飲み物なので、やはり軟水の方が美味しく淹れられると分かりました。

日本茶に理想的な軟水の硬度は30〜80mg/Lくらいと言われています。
日本の水道水はお茶に適したお水と言えます。

しかし、日本の水道水はカルキ消毒されていますので、美味しいお茶をいれるにはカルキ臭を抜くことが必要です。
浄水器を通した水を3〜5分程度、よく沸騰させることでカルキ臭を除去します。
この時、やかんの蓋は取って沸騰させてください。
4〜5時間汲み置きした水を使えば、なおよいです。
さらにこだわる方は、軟水のミネラルウォーターを使われるのが良いでしょう。
美味しいお茶を淹れるための水は、硬度の他にph値も関係してきます。
ph値は水溶液中の水素イオン濃度(H+)の量のことで、「中性」の7を基準にして、7より低いと「酸性」、7より高いと「アルカリ性」になります。
日本茶に適しているph値は7〜8と言われています。
ミネラルウォーターを選ぶ際には、表示の硬度とphの数値に注目してくださいね。
軟水は、お茶だけでなく、昆布や鰹節などの出汁をとるとき、グルタミン酸やイノシン酸等のうま味成分を引き出すことも報告されています。
日本のお水は、和の「美味しい」を引き出すのに適しているのですね。
お茶は水の違いによって味も色も驚くほど変わることがあります。
湧水や名水など、時には上質なお水でお茶を愉しんだり、色々水を替えてお茶を味わうのはいかがですか?

もうすぐ夏休みが終わりますが、お子さんの自由研究がまだ終わっていないという方。
こんなテーマはいかがでしょうか?

残暑お見舞い申し上げます


2018年8月13日

残暑お見舞い申し上げます。
今年は酷暑と言われる猛烈な暑さが連日のように続いていますが、皆さま体調崩されていませんでしょうか?
真夏の茶園はとにかく草引きです。
ぐんぐん伸びる夏の雑草との戦いです。
しかし、今年は例年にない暑さのため、草引き以外の暑さ対策で追われています。

お茶の葉は気温が37度を超えると、葉焼けを起こして茶色くなってしまうことがあります。
そのために、寒冷紗と呼ばれる黒い布で茶園を覆い、日除けをします。
寒冷紗は、てん茶特有の旨みや香りを引き出すためだけでなく、日除けや防霜の役割も果たしてくれます。
これだけ暑いと水やりの水も相当でしょう?と聞かれることがありますが、
基本的にお茶の木には水やりはしません。
お茶はとても生命力の強い植物です。
水を与えなければ、水を得ようと根を深く遠くまで伸ばします。
そうすることで、茶樹の持つ生命力、成長のポテンシャルを最大限に引き出してあげるのです。

しかし、今年は例年にない酷暑。
京都では38.9度を記録する日もあり、37度超えの日々が続きました。
そこで、水主神社の領内にある幼木園では、今年異例の水やりを行いました。

寒冷紗の広げられる茶棚のある茶園は良いのですが、まだ茶棚を立てていない幼木園の茶樹がところどころ葉焼けを起こしてしまっているのです。
まだ幼いお茶の木は、まだ根も浅く、この連日の暑さに耐えきれません。
水やりでなんとかこの夏を乗り切って欲しいものです。
お盆で帰省や旅行にお出かけなさっている方もいらっしゃると思いますが、皆様もしっかりと水分補給なさって、くれぐれも熱中症にはご注意くださいね。