コラム孫右ヱ門

お茶の効能 季節の変わり目に飲むお茶


2017年8月31日

今年の夏は例年とは一味違う暑さでしたね。
ようやく厳しかった暑い夏も終いを迎えます。
涼風が吹き始める夏の終わりになるとがっくりと体力が落ちてしまうことはありませんか?
朝夕涼しくなったとはいえ、9月はまだまだ暑い日が続きます。
みなさん、夏バテは大丈夫でしょうか?
今回は夏バテ気味の時におすすめしたいお茶の飲み方をお伝えします。

夏になるとペットボトル茶の売り上げが急激に上がります。
暑い日は冷蔵庫でキンキンに冷やしたお茶やビールが美味しいですが、冷たい飲み物の飲み過ぎは要注意です。
食べ物の消化に使われる消化酵素は、体温である37度付近で一番よく活動すると言われています。暑さで体温が37度を超えても、また冷房や冷たい飲食物で37度以下に下がっても消化酵素の活動が鈍るため、消化不良が起きてしまいます。
また、水分をがぶがぶと多量に摂取すると胃液が薄まるので、これもまた胃腸の機能を低下させてしまいます。
そして冷たい飲み物やクーラーで身体が冷えすぎると、血流が悪くなって身体が怠い、疲れがとれない、集中力が低下するなどの症状に悩まされてしまいます。

そこでおすすめしたいお茶の飲み方があります。
それは食後に温かい煎茶を一杯飲むこと。
江戸時代の健康本、貝原益軒(かいばらえきけん)の「養生訓」にも

「日々茶を多くのむ人多し。
 のみ習へばやぶれなきにや。
冷物なれば一時に多くのむべからず。
飯後に熱茶少しのんで食を消し、渇をやむべし。」
と書かれています。
食後の温かい一杯のお茶はクーラーや冷たい飲み物で冷えた胃腸を温め、消化酵素の働きを元に戻してくれます。
また、お茶はビタミンやミネラルが豊富なので、大量の汗とともに失われた栄養の補給にもなります。

しかし、お茶には利尿作用のあるカフェインが多く含まれていますので、水分補給でたくさん取る場合は、カフェインの少ないほうじ茶やカフェインレスの麦茶をお勧めします。
こうしたカフェインの利尿作用を思うと、夏に麦茶を飲むというのは理にかなったことなのですね。

季節の変わり目、どうぞ体調を崩されませんよう、
食後の温かいお茶で身体を整えてみてください。

参考文献:『養生訓』原著:貝原益軒 編者:杉靖三郎

お茶の効能:お茶は二日酔いの予防・解消の薬だった?!


2017年4月9日

今週末は、多くの地域で桜が満開を迎え、雨が上がった今日はたくさんの方がお花見に行かれたことでしょう。
孫右ヱ門の茶園のある木津川河川敷の桜堤も、多くのお花見客でいつもより随分と賑やかでした。
桜の木の下で宴会をしている人もちらほら。
花見は日本人のイベントのひとつですね。
綺麗な桜を眺めながらのお酒をいただくのは格別ですが、ついつい飲み過ぎてしまうことも…。

今日はお花見、歓迎会など、お酒を飲む席が増える季節に役立つお茶の効能のお話です。
鎌倉三代将軍・源実朝が二日酔いに苦しんだ時、臨済宗の開祖で、茶祖として知られる栄西禅師が茶を一服捧げたところ、たちどころに不快が消えたといいます。
この話は鎌倉時代の幕府公式記録である「吾妻鏡」に記されており、栄西はこの時、茶の薬効を説いた書物を献上しました。
これが日本で最初の茶書「喫茶養生記」であると言われています。

お茶にはカフェインやビタミンCが多く含まれています。
眠気覚ましにカフェインを摂るとスッキリするように、カフェインの覚醒効果によってアルコールによる「酔い」の状態から復活させる作用があります。

お酒を飲むと、アルコールは肝臓でアセトアルデヒドという物質に変化します。
このアセトアルデヒドは有害物質で、悪酔いや二日酔いの原因となるのです。
カフェインやビタミンCにはこの有害物質アセトアルデヒドの分解能力を高める働きがあります。
またカフェインは高い利尿作用も持っていますので、アセトアルデヒドを体外に排出し、体内のアルコール濃度を下げる働きもあります。

ただし、カフェインは摂りすぎると眠れなくなったり、胃に不快をもたらすこともあります。
また利尿作用によって逆に水分不足になってしまいますので、冷たいお茶をガブガブと飲むよりは、温かい濃いめの緑茶を一杯程度飲むようにしてくださいね。
ペットボトルのお茶ではなく、急須で入れたお茶、もしくはティーバッグが効果的です。
夜にカフェインを摂ると眠れないという方もいらっしゃいますので、お酒をたくさん飲んだ翌朝に、玉露や煎茶を少し熱めのお湯で浸出して飲むのがオススメです。
また、お茶に含まれるカテキンには消臭作用があるので、朝にお茶を飲むのは口臭予防にもなりそうですね。

お酒を飲む機会が多くなるこのシーズン、ぜひお茶を役立ててみてくださいね。