コラム孫右ヱ門

茶園の四季vol.2 「すあげ」と「わら振り」


2016年4月8日

孫右ヱ門の茶園がある木津川には桜づつみと呼ばれる美しい桜並木が続いています。
20150330-IMG_3570桜が満開を迎えた先週のこと、孫右ヱ門の茶園では、茶棚に葦簀(よしず)を広げる「すあげ」の作業を行いました。
冬の間に補修しておいた葦簀(よしず)を、茶棚の上に上げて広げていきます。
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20150324-IMG_3069この状態で遮光率は55~60%になります。
少し薄暗い日陰にいるような感じです。

「よしず下10日 わら下10日」と言われ、「すあげ」作業の約10日後に、広げた葦簀(よしず)の上に藁を振る「わら振り」という作業を行います。
茶棚のパイプの上に足をかけ、広げたよしずの上に手にした藁を振り落としていくという大変難しい作業です。
20150418-IMG_3897これで遮光率は95~98%になります。
覆下にいると随分暗いと感じます。
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こうして遮光をすることにより、茶の旨み成分であるテアニンが渋み成分であるカテキンに変化するのを抑えることができます。
それだけでなく、日光を遮ることで茶葉がより柔らかく、色も鮮やかな緑色になります。
そして、「覆い香(おおいか)」と呼ばれる独特の香りが生まれるのです。

しかし、そもそもどうして茶園を葦簀(よしず)や藁で覆うようになったのでしょうか?

鎌倉時代、中国の禅僧栄西が、現在の京都市右京区栂尾(とがのお)にある高山寺の僧明恵(みょうえ)上人に茶の種子を贈ったのは有名なお話ですね。
明恵上人はその種を栂尾に播いて茶を育て、修行のための眠気覚しとして周りの僧侶たちに勧めたと言われています。
栂尾は山間の地形で日照時間の短い場所であり、そこで育った日陰のお茶が良質だとされ「天下一の茶」ともてはやされました。

しかし南北朝時代には「宇治茶」が台頭するようになります。
栂尾茶に代わって、宇治茶が茶人の賞賛を得るようになったのは、気候の適否や生産量の多寡などの理由の他に、宇治茶師の努力と工夫に依るところが大きかったようです。

その創意工夫の一つが、どうやら茶園を葦簀(よしず)や藁で覆う覆下栽培だったようです。

茶園にたまたま筵(むしろ)が乗っており、その部分だけが霜が当たらず、良い新芽が出てきたという説もありますが、詳しいことは未だ定かではありません。

しかし、霜除けを目的として葦(よし)や筵(むしろ)を被せたことが始まりだということは確かです。
やがて日陰育ちの茶が良いと気づき、以後長年、茶師たちによる改良・工夫が重ねられた末に、霜害を防ぎ、強風から茶の新芽を守り、遮光率を人為的にコントロールできるという利点を持った現在の覆下栽培の形が出来上がっていったのではないでしょうか。

さて、来週辺りには、わら振りの作業が始まります。
わら振りが終わると、いよいよ一年で最も茶園が賑やかになる茶摘みの季節が始まります。

孫右ヱ門では、今年もお茶摘み体験ツアーを行います。
20150514-IMG_4789のコピー新茶の手摘み体験、製茶工場見学、挽き茶体験、摘んだばかりの新芽の天ぷらと旬菜の松花堂弁当、抹茶の点て方ワークショップなど盛りだくさんな内容でお届けします。

日時:5月15日(日)9:15(近鉄富野荘駅2番出口)集合 14:00 解散予定
詳しくは下記、孫右ヱ門Facebookページをご覧ください。
https://www.facebook.com/events/1584753485175570/

その他、松花堂弁当はつきませんが、お茶摘み体験、製茶工場見学、碾茶体験のみのツアーも別日程で予定しております。

詳細は孫右ヱ門Facebookページにて随時お知らせします。

希少な碾茶の手摘み体験、そして摘みたての新茶を味わえるのもこの季節だけの贅沢です。
ぜひ皆様のご参加をお待ちしております。

お問合せ:株式会社 孫右ヱ門 TEL:0774-52-3232  MAIL: info@magouemon.com 
     ※お電話でのお問合せは平日9:00~18:00の間でお願いします。