コラム孫右ヱ門

お茶に纏わるモノ・コト・道具vol.2  碾茶炉と焙炉(ほいろ)じまい


2015年6月5日

今年の茶摘みも無事終わり、「焙炉(ほいろ)じまい」を行いました。

焙炉(ほいろ)じまいとは、製茶用乾燥炉の火を落とすこと、つまり製茶の終わることを言います。

20150514-IMG_4710

製茶の終わった工場では、一年の役目を終えた機械や道具が、眠りに入ったようにしんと静まり返り、つい先日までの熱気が嘘のようです。

20150604-IMG_4901

レンガ造りのクラシックな佇まい、孫右ヱ門の工場の中で一際存在感のある機械、それが碾茶炉(製茶の乾燥炉)です。

高さは約4m、幅は約15mほどもあります。

20150604-IMG_4905

20150604-IMG_4915

蒸した茶葉を風で吹き上げ、葉に付いた余分な蒸し露を除去しながら冷却したのち、この碾茶炉で乾燥します。

碾茶炉は茶葉を乾燥させるだけでなく、適度な加熱香気を生成し、香味の調和をとる役割もあります。

碾茶炉の中は、一般的に上下二つの乾燥室に分かれています。

上段、中段、下段に設置されたベルトコンベアに散布した茶葉が、約15mのトンネル状の室を通る間に乾燥するしくみです。

20150514-IMG_4715

20150604-IMG_4945

クラシックなレンガ造りなのは、炉内が200℃を超える高温となるので、耐熱性を考慮したためです。またレンガにより保温性を高くするという目的もあります。

 

碾茶炉での乾燥工程では、乾燥の度合いによって、外観の色や、香り、味が変わってくるため、都度茶葉を手に取り、色や匂いを確かめ機械を調整します。

手応えなく柔らかい感触なら、乾燥不足のためコンベアの速度を調節し、乾燥時間を延ばします。

乾燥していても黒みや焦げ臭を感じるときは、反対に乾燥時間を短くします。

少しの気温や天気の変化で、仕上がりが変わってくるため、その都度五感を働かせ、微調整をしなければなりません。

この炉の調整には熟練の感を必要とします。

20150514-IMG_4760

碾茶炉の仕組みは、生産家によって様々です。

品評会を狙うような生産家では、理想の仕上がりになるよう、それぞれ独自に機械をカスタマイズしています。

そのため、全く同じ機械というのはないかもしれません。

孫右ヱ門の工場でも、毎年、製茶機械の職人さんに頼んで微調整をしてもらっています。

先代、先々代は製茶機械の職人さんとともに、碾茶製造に欠かせないマイコン型バーナー、自動投入機などの開発に関わり、茶業界に貢献をしてきました。

こうして、毎年質の高い碾茶が仕上がるのは、先人たちの知恵と丁寧なモノづくりの心が詰まっているからです。

孫右ヱ門の碾茶炉は、今年も休むことなく、約1ヶ月間フル回転で頑張ってくれました。

本年のお役はこれで終わりましたが、先の時代も質の高い碾茶を作り続けるため、知恵を注ぎ、これからも大切にしていきたいです。