コラム孫右ヱ門

はじめまして、スタッフKです!


2019年3月19日

社長様のご意向で新しくブログのいち担当者になりました、スタッフKです。

普段は孫右ヱ門の様々な仕事を手伝っております。

私はお茶に対して素人ですが、お茶仕事が大好きです。

手伝っております観点から文面を記載させて頂き、少しでも、一読して下さる皆様がお茶にご興味を持って下さいますと幸いです。

 

さて、早くも寒冷紗が活躍する季節がやってきました。

そもそも寒冷紗とはお茶の新芽の苦みを減らし、甘味を増やすために使用するものだそうです。

茶摘みが終わった後も夏の日差しから茶の木と草引きをする私たちを守ってくれる頼れるヤツなんですが、その後は棚の端っこで紐で縛られ、春に向けて、待機中。

今日はその寒冷紗を広げれるように紐をほどくお仕事を初体験!

棚に手は届かないので脚立に乗ります。

これが結構な高さで、最初は怖っ!そして、すぐ辛(ツラ)っ!にとってかわりました。

更に皆様、普段両腕あげてちょい硬めの紐って解いてますか?

私は解いてないので速攻で腕と肩がやられました(驚)

 

あと下向きがちに暮らしてるので、上向き続けて作業しているうちに頭がくらっとして脚立の上で危うくブラックアウトしそうになり慌てて休憩を申請(笑)

(落ちるときは遠慮なく茶園の上に落ちてねー(笑)と言って下さったけど、じゃ、遠慮なく〜♡って落ちるほど私もアホではないつもり(笑))

軽トラの荷台で寝かせてもらうという大失態‼︎

大失態だけど、憧れの軽トラの荷台♡

見渡す景色は木津川の土手と茶畑と春の青空。

竹林からウグイス。

シアワセ〜♡

しかもその後、一緒に作業中の畑の姉様が、低血糖かなっ⁈とか言ってチョコと甘いコーヒーをご馳走して下さいました。ありがとうございます(泣)

一生懸命働きます!

 

脚立に乗って紐をほどく、脚立を担いで移動、また乗って…

畑は広いのですよ〜(泣)

脚立も『ショムニ』の江角マキコが担いでた大きいヤツです。重いです。

それでも畑の姉様は軽快に駆け回ってらっしゃいますのでこれも訓練なんでしょう。

自分は力自慢だと思っていたのは思い上がりでした。

畑の仕事はいつも大変で発見でいつも楽しいです(笑)

機会があれば是非♡

 


2018年12月31日

年の瀬にこんなニュースが耳に入ってきました。
静岡県で大型てん茶炉を30基建設中、と。
また、掛川では、碾茶の殺菌から粉砕、袋詰めをする充填作業など一連の流れを一つの工場で行う一貫生産体制を整えた抹茶専用工場が新設されたとのことです。
その工場では年間32トンあった生産量が、今後約3倍の100トンにもなるといいます。

碾茶炉の建設増とともに、「直掛け」での碾茶栽培も増えています。
碾茶の栽培では伝統的に、茶棚を組んで茶園全体を囲み、茶園全体をすっぽり覆う「棚掛け」が行われてきました。
弊社はこの棚掛けに加え、さらに寒冷紗(化学繊維の黒い布)ではなくよしずとわらで被覆する「ほんず栽培」を行なっています。
一方、「直掛け」はお茶の木の上に直接寒冷紗(黒い布)をかぶせて遮光して栽培するという方法です。
「直掛け」の方が「棚掛け」より手間が少ないので、生産量も上がるというわけです。

海外では空前の抹茶ブームです。
以前は価格の問題から、中国製の安価な抹茶が世界のシェアを占めていましたが、近年では日本産の抹茶とコスト面で価格差が小さくなったことと、海外でも本物思考が高まったために、日本製を買い求める人が急増しているのです。
この空前の海外での抹茶ブームに対応するため、静岡での碾茶炉の建設ラッシュが起きているのです。

しかし、果たして海外で流通する抹茶が、本物志向の方々にマッチするものなのかどうか…

孫右ヱ門でも今年は商社や、海外輸出支援を行う方々にお話を聞く機会が今年はたくさんありました。
世界で抹茶を求める声が多くあることを実感しました。
しかし海外輸出には非常に多くのコストがかかります。
越境ECに掲載するにも商社に卸すにも、販売手数料の負担はとても大きいものです。
それを思うと、現在海外で流通している抹茶がクオリティーの低いものとなるのは必然です。
利益を確保する為には、抹茶の品質を落とすしかない、それが現在海外で流通している抹茶の現実です。

大規模な抹茶工場での生産が進むと、低価格抹茶の生産量は一気に増えます。
本来の伝統的な碾茶の製造技術を持たない方々が生産する抹茶が大きなシェアを占めて、一般的な存在になっていくでしょう。

現在の抹茶の定義は、日本茶業中央会で「覆い下で栽培された生葉を揉まないで乾燥した碾茶を茶臼で挽いて微粉状に製造したもの」と定められています。
しかし大量生産された低価格の抹茶が大きなシェアを占めるようになると、この抹茶の定義はさらに緩いものに代わっていくでしょう。

今後抹茶の流れが大きく転換する中でも、孫右ヱ門では変わらず伝統製法で手間暇かけて作った本物を伝え続けます。
6年前、初めて「ほんず抹茶」に出会い、感動のあまり孫右ヱ門の仕事を手伝わせてほしいと代表の太田に迫ったことを今思い返しています。

安価な抹茶が悪いとは言いません。
普段抹茶を飲まない方にもデイリーに取り入れてもらいやすくなるといった良い点もあります。

しかし私は本物の味を知ることは、自分の舌の物差しを確立することでもあると思うのです。
本物を知ることは、品質の良し悪しを決めるバロメーターになります。
抹茶風の飲み物ではなく、本来の抹茶の味も知って頂きたいと思うのです。
しかしいくら本物、本物と発信すれど、抹茶の味は、飲んでいただかないと伝わるものではありません。
来年は多くの方に、孫右ヱ門の抹茶を飲んでいただけるように、各地を行脚できればと考えております。

今年も多くのご縁を頂戴し、皆様にお世話になりながら無事一年を終えることができました。
本当にありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

編集担当:おまみ

冬の茶園


2018年12月19日

今年も残すところあと半月を切りました。
12月は暖かい日が続いていると思えば、雪が降りそうなほど寒い日もありましたね。
畑仕事をしておりますと、このところの気候変動を肌身で感じます。

12月の今頃になると、秋にふんだんに撒いた有機肥料で土がふかふかになってきます。
そして、肥料の栄養を十分に吸い取ったお茶の葉は艶やかに輝きます。

もし、冬の茶園を見る機会があれば、お茶の葉をじっくりご覧になってください。
お茶の葉がテカテカと艶やかに輝いていれば、その茶園ではたくさん良質の肥料を与えていること、
お茶の樹が肥料の栄養を十分に吸っていること、茶樹が元気であることのバロメーターになります。
そして、初夏の茶摘みの後、番刈りと言って膝丈くらいに刈りそろえたお茶の木はというと、夏や秋を超えてこんなにも大きくなっています。
茶園の場所によってばらつきはありますが、だいたい平均的な身長の女性の胸のあたりまで伸びています。
茶園によっては背を越す勢いのものもあります。

現在、茶園では、「新芽切り」の作業をしています。
高く伸びた茶樹から出た新芽を手作業でカットしていきます。
冬にお茶の新芽を切るのは、茶樹の高さをだいたい揃えて、来年の初夏に出てくる新芽の大きさを揃えるためです。
新芽の大きさが不揃いになると、摘んだ葉を均一に蒸すのが難しくなります。
また、お茶摘みさんはほとんどが女性ですから、あまり大きくなってしまうと、背伸びして摘まなくてはならなくなります。

冬の畑チームは、雪だるまのように着込んで作業をしています。
特に午前中、朝露に濡れた葉は冷たく、手袋をしていても指先の感覚がだんだんなくなっていきます。

全ては来年のお茶のために、こうして冬の間も手間暇かけて大切に育てています。

こうして大切に育てた孫右ヱ門のお茶を、大切な方への贈り物や、お正月の特別なお抹茶にいかがでしょうか?

孫右ヱ門の抹茶は、以下のサイトでご購入いただけます。
孫右ヱ門オンラインショップ
https://magouemon.stores.jp

高島屋オンラインストア
http://urx.red/OBzR

さとふる
https://www.satofull.jp/products/list.php?q=孫右ヱ門&cnt=60&p=1
さとふるでは、現在寄付額の最大10%、Amazonギフト券プレゼントキャンペーン中です。

ふるさとチョイス
https://www.furusato-tax.jp/search?q=孫右ヱ門

「さとふる」「ふるさとチョイス」では、ふるさと納税寄付のお礼品として孫右ヱ門の商品をお受け取りいただけます。
ふるさと納税で寄付した金額はその年の所得税より還付、翌年度の個人住民税より控除されます。
さらに、サラリーマンの方は面倒な確定申告が不要な制度があります。
詳しくは、「さとふる」「ふるさとチョイス」のサイトをご覧ください。

秋の茶園に芋のツル?!


2018年9月19日

連日のように降っていた雨も小休止。
今日は爽やかな秋晴れの1日となりました。
茶園のある木津川の堤防では、山ツバメが飛び交っています。
草むらの虫をたくさん食べて栄養を蓄え、渡りに備えているのでしょうか?
9月も中旬を過ぎ、暑さも和らいで、ようやく日中も茶畑での作業ができるようになってきました。
秋の茶畑はこんな感じです。
初夏の茶摘みの後は、番刈りと言って、膝くらいの高さまで茶樹を切り揃えますが、
9月に入り少し風が冷たくなってくると、親葉が盛り上がるように勢いを増し、秋芽が立ち始めます。

そしてこの時期の茶畑をよく見ると、お茶の葉の間にハート形の葉を付けた「つる」をあちらこちらに見つけることができます。
これは山芋のつるなのです。
これがまた厄介もので、芋のつるはお茶の木の枝に絡みついてぐんぐん伸びます。
それを一つ一つ手作業で枝から外して取っていきます。

つる取りは簡単なように見えるのですが、実はなかなか技が要るのです。
特に厄介なのはこの「むかご」。
むかごは山芋の赤ちゃん。
これが地面に落ちると、そこからまた無数にツルを伸ばして増えていきます。
つるを引っ張って抜こうとすると、むかごがポロポロ外れて地面に落ちてしまいます。

そうっと枝からつるを外して、土を少し掘り、そっと引き抜きます。
上手くいくと種芋ごとすっぽり抜けて、絶やすことができます。
種芋ごと抜けた時は、ちょっぴり快感!
なかなかやみつきになる作業です。

お茶摘み体験に来ていただいた方はお分かりになるかと思いますが、
5月の茶摘みの時には、このような芋のつるを見かけませんよね?
それは、こうして秋の間、手作業でひとつひとつ「つる取り」をしているからこそ、なのです。
全ては次の年のお茶の品質のために。

これから茶の木は、冬に向けて枝を太らせていく時期に入っていきます。
茶園からのまたの便りをお楽しみに。

お茶と水のお話


2018年8月26日

お茶を淹れるとき、皆さんはどのようなお水を使いますか?
水道水?ミネラルウォーター?
水質はお茶の味を変えてしまうと言われています。
今回は、意外と奥が深いお茶と水のお話です。
夏休みも終盤となり、お子さんの宿題の手伝いに追われている方もいらっしゃるかと思います。
夏休みの宿題といえば、読書感想文に自由研究。
皆さんもご経験があるかもしれせんが、時間のかかるもの程、後回しにしてしまいがちですよね。

コラム担当の息子も例に漏れず(笑)自由研究を後回しにして、今頃テーマに悩んでいました。
我が家では職業柄、年中様々なお茶を急須で淹れて飲みます。
夏場はずっと「てん茶」の水出しを当たり前のように毎日飲んでいるという贅沢な我が子です。
息子と相談する中で、何かお茶についての研究をする、ということになりました。
そこで、息子がテーマに決めたのは「水の違いによるお茶の変化」の実験です。

硬度304mg/Lの硬水、硬度15mg/Lの軟水でそれぞれ日本茶(煎茶)と紅茶を淹れて、色や味、香りの違いを確かめてみることにしました。

水の硬度というのは、水1リットル当たりのマグネシウムとカルシウムの量(mg)を示したもので、硬度120mg/L以下が軟水、120mg/L以上が硬水(WHO世界保健機構基準)とされています。

日本の水道水は、軟水から中程度の軟水です。
水道水の硬度が地域によって異なっているのはご存知でしたか?
城陽市にある我が家の水道水は50mg/L以下の軟水ですが、実は関東地方の水道水の硬度はかなり高めなのです。
全国の水道水の硬度は、こちらのページで見ることができます。

実験の結果、硬水と軟水では大きな違いが見られました。
紅茶の場合、画像では分かりにくいですが、硬水で淹れた水色は少し黒っぽくになり、少し白く濁っていました。
香りは強く、ザラリとした口当たりで淡白な味になりました。
一方、軟水で淹れた紅茶の水色は、透明感のある美しい赤橙色で、香りはさっぱりとし、味はとてもまろやかな中に紅茶特有の渋味を感じました。
日本茶の場合、軟水で淹れた水色は済んだ黄色となり、硬水で淹れたものは紅茶と同じく、少し白く濁ったようなものが出てきました。
味は軟水より、硬水の方が渋みがなく淡白な味になりました。

同じ水でも硬度によってこれだけの違いが生まれます。
硬水は鉄分など様々なミネラルを含んでいます。このミネラルがお茶の渋み成分であるタンニンと結合すると、色が悪くなりますが、その反面渋みが抑えられるようです。
硬水で淹れたお茶が淡白だと感じたのはこのせいですね。
煎茶はさっぱりとした苦渋みと旨みの調和を楽しむ飲み物なので、やはり軟水の方が美味しく淹れられると分かりました。

日本茶に理想的な軟水の硬度は30〜80mg/Lくらいと言われています。
日本の水道水はお茶に適したお水と言えます。

しかし、日本の水道水はカルキ消毒されていますので、美味しいお茶をいれるにはカルキ臭を抜くことが必要です。
浄水器を通した水を3〜5分程度、よく沸騰させることでカルキ臭を除去します。
この時、やかんの蓋は取って沸騰させてください。
4〜5時間汲み置きした水を使えば、なおよいです。
さらにこだわる方は、軟水のミネラルウォーターを使われるのが良いでしょう。
美味しいお茶を淹れるための水は、硬度の他にph値も関係してきます。
ph値は水溶液中の水素イオン濃度(H+)の量のことで、「中性」の7を基準にして、7より低いと「酸性」、7より高いと「アルカリ性」になります。
日本茶に適しているph値は7〜8と言われています。
ミネラルウォーターを選ぶ際には、表示の硬度とphの数値に注目してくださいね。
軟水は、お茶だけでなく、昆布や鰹節などの出汁をとるとき、グルタミン酸やイノシン酸等のうま味成分を引き出すことも報告されています。
日本のお水は、和の「美味しい」を引き出すのに適しているのですね。
お茶は水の違いによって味も色も驚くほど変わることがあります。
湧水や名水など、時には上質なお水でお茶を愉しんだり、色々水を替えてお茶を味わうのはいかがですか?

もうすぐ夏休みが終わりますが、お子さんの自由研究がまだ終わっていないという方。
こんなテーマはいかがでしょうか?

残暑お見舞い申し上げます


2018年8月13日

残暑お見舞い申し上げます。
今年は酷暑と言われる猛烈な暑さが連日のように続いていますが、皆さま体調崩されていませんでしょうか?
真夏の茶園はとにかく草引きです。
ぐんぐん伸びる夏の雑草との戦いです。
しかし、今年は例年にない暑さのため、草引き以外の暑さ対策で追われています。

お茶の葉は気温が37度を超えると、葉焼けを起こして茶色くなってしまうことがあります。
そのために、寒冷紗と呼ばれる黒い布で茶園を覆い、日除けをします。
寒冷紗は、てん茶特有の旨みや香りを引き出すためだけでなく、日除けや防霜の役割も果たしてくれます。
これだけ暑いと水やりの水も相当でしょう?と聞かれることがありますが、
基本的にお茶の木には水やりはしません。
お茶はとても生命力の強い植物です。
水を与えなければ、水を得ようと根を深く遠くまで伸ばします。
そうすることで、茶樹の持つ生命力、成長のポテンシャルを最大限に引き出してあげるのです。

しかし、今年は例年にない酷暑。
京都では38.9度を記録する日もあり、37度超えの日々が続きました。
そこで、水主神社の領内にある幼木園では、今年異例の水やりを行いました。

寒冷紗の広げられる茶棚のある茶園は良いのですが、まだ茶棚を立てていない幼木園の茶樹がところどころ葉焼けを起こしてしまっているのです。
まだ幼いお茶の木は、まだ根も浅く、この連日の暑さに耐えきれません。
水やりでなんとかこの夏を乗り切って欲しいものです。
お盆で帰省や旅行にお出かけなさっている方もいらっしゃると思いますが、皆様もしっかりと水分補給なさって、くれぐれも熱中症にはご注意くださいね。

今年の製茶が終わりを迎えました


2018年6月21日

4月27日、今年は例年より随分早くスタートしたお茶摘みでしたが、
昨日で約1ヶ月半続いたお茶の繁忙期もようやく終わりを迎えました。
お茶摘みは6月上旬までの約1ヶ月と少しで終わるのですが、そのあとも、関西や全国の茶品評会に出品するためのお茶の選別作業「お茶選り(おちゃより)」が続くのです。
編集担当もこのお茶選り作業に入って、約一ヶ月半、拝見盆の中の茶葉と向き合ってきました。
抹茶の原料となる碾茶の品評会では、お茶の外観・香気・滋味・水色・から色(茶殼の色)の5項目が審査されます。

お茶の良し悪しは、製造の適否や品質が外観に出ることから、まず外観(色や形状)から審査を行います。
外観は40点満点で、まずここで満点クリアしないと一等の農林水産大臣賞にはもう届きません。
それほどお茶の外観は大事な要素なのです。
だから多大な人件費がかかったとしても、お茶の一枚一枚を丁寧に手作業で選別するのです。
今年も外観は、孫右ヱ門満足の冴えた鮮やかなグリーンに仕上がりました。
今年は味も香りものっている。
さて、結果はいかに。

全国茶品評会の結果発表は8月の下旬です。
今年こそ、1等がとれますように。

期間中は国内外からお茶摘み体験ツアーにご参加いただきありがとうございました。
また、雨でやむなくお茶摘み体験ツアーに参加できなかった皆様、大変申し訳ございませんでした。
また来年もお茶摘み体験ツアーを企画いたしますので、ぜひお越しください。

「茶農家さんはお茶摘み以外のシーズン何をしているの?」
お茶摘み体験ツアーでよく聞いていただく質問です。

そんなお茶摘みシーズン以外、茶農家は一体何をしているのか?
こちらのコラムでその様子を発信していきますので、ぜひ茶園からの便りをご覧ください。

茶香服(ちゃかぶき)


2018年2月9日

先日TBSの「マツコの知らない世界」という番組でも紹介されましたが、皆さま「茶香服(ちゃかぶき)」はご存知でしょうか?

孫右ヱ門でも度々イベントで行なっておりますが、「茶香服(ちゃかぶき)」は産地を伏せた5種類のお茶を、五感を使って利き分ける競技です。
茶香服(ちゃかぶき)は別名「闘茶」とも言って、南北朝時代から室町時代中期にかけて、武家や公家、僧侶の間で流行しました。
当時の茶香服(ちゃかぶき)は京都の栂尾(とがのお)のお茶を本茶、それ以外を非茶(ひちゃ)と呼び、「本・非」を飲み当てるゲームでした。

「闘茶」が普及するにつれ、賭け事として徐々にエスカレートしていきます。
しまいには高価な品や家財を賭けて、人生を棒にふるものまで現れる始末。
「闘茶」は社会問題となり、とうとう足利幕府が禁止令を出すに至ったほどです。

そんな茶香服(ちゃかぶき)ですが、茶業者が茶の鑑定技術を高める一環として現在も行なわれています。
いよいよ今日から平昌オリンピックがはじまりますが、お茶にもオリンピックのようなものがあり、
「全国茶審査技術大会」という茶審査技術を競う大会が毎年行われています。
生産家や茶問屋、お茶を知り尽くした人たちの壮絶な戦いです。

今は3月の京都府大会に向けて、城陽、京田辺、宇治、小倉、和束など、京都府内の茶産地の茶業青年団で予選会が行われています。

城陽の茶業青年団では週に2回、45歳までの茶生産家、茶問屋などが参加し、茶香服の練習を行なっています。
茶香服(ちゃかぶき)では「花・鳥・風・月・客」それぞれ産地の違う5種類の玉露と煎茶を利き当てます。
TBSの「マツコの知らない世界」でマツコさんもチャレンジされていましたが、これがなかなか当てられないのです。
一度入れた札は元に戻すことができません。
それも茶香服の難しいところです。
普通は「花・鳥・風・月・客」の札を使って茶香服を行うのですが、宇治の小倉地区では、玉露発祥の地ということで「玉露製元祖」という札を使うそうですよ。

編集担当も今年からこの予選会での練習に参加しています。
碾茶日本一の産地賞を獲得した城陽の生産家、茶問屋が集まるのですから、予選会といえどハイレベルな真剣勝負です。
各茶業青年団から、予選会で成績の良かった人を京都府大会に送り出すのです。
こうして、茶香服の練習を重ねるごとに若い世代の茶業者たちに「お茶を見る目」が養われていきます。
鎌倉時代から続く茶香服ですが、こうして現代でも茶の目利きの技術を磨くために受け継がれているのです。

お取扱店舗様紹介「ink. by canvas tokyo」様


2018年1月18日

おかげさまで弊社の抹茶を取り扱っていただく店舗様が徐々に増えてまいりました。
こちらのコラムでまた順次ご紹介させていただきますが、本日は東京・代官山に昨年11月にオープンした「ink. by canvas tokyo」様をご紹介いたします。
こちらは広尾の人気カフェ「CANVAS TOKYO」様の2号店で、天然素材にこだわった黒・緑・赤・黄・紫、そして1号店で人気のフラットホワイトという6色のラテが人気です。

黒は国産の炭、赤は国産天然ビーツなど珍しい素材を使用されています。
そして緑は孫右ヱ門の抹茶「蒼穹」をお使いいただいています。

黒は「ブラックインク」黄色は「イエロースター」などそれぞれの色に名前がついているのですが、緑の抹茶ラテはその名も「抹茶-孫右ヱ門」。

京都から遠く離れた東京・代官山のメニューに「孫右ヱ門」の名前を見ると嬉しくなります。
抹茶の泡とミルクの泡が絶妙のバランスで、弊社の「蒼穹」ならではの鮮やかなグリーンと抹茶の濃厚な旨味を存分に味わっていただけるラテです。
現在はどこでも抹茶ラテを飲むことはできますが、自分で言うのもなんですが(笑)こんなに美味しくて色鮮やかな抹茶ラテは初めてです。
真っ白な店内に、6色のラテがまさにinkのように色を添えています。
カラフルなラテはインスタ映えするだけでなく、オーナーの佐藤様がこだわって厳選された素材だけに、その味はどれも本物です。
「可動式の椅子を全部合わせると畳2畳分になるんです。後々はここでお茶を点ててもらうこともできるし、色々なことができる。」と嬉しそうに語られるオーナーの佐藤さん。
「オープンコンセプトストア」という概念で、様々な変化を見せてくれそうな「ink. by canvas tokyo」様の今後がとても楽しみです。

お近くに行かれた際は、ぜひ「ink. by canvas tokyo」様へお立ち寄り下さい。
東京都渋谷区代官山町11−12日進ヒルズ1F
東急東横線 代官山駅より徒歩分5分
営業時間 AM10:00〜PM19:30 (L.O.19:00)

全国茶品評会 お茶の優劣はどうやって決めるの?


2017年9月26日

九月の上旬、長崎県大村市において全国茶品評会が行われました。
全国茶品評会は、全国の茶産地から出品された茶の中から審査を行い、その年の優秀な茶を選定するお茶の甲子園のようなものです。
弊社も農林水産大臣賞を目指し、丹精を込めたお茶を毎年出品しております。
今年は2等1席、順位は全国7位という結果となりました。
1位〜6位までが1等入賞。
7位からは2等となります。
惜しくもあと1席で1等入賞というところでしたが、残念ながらあと一歩というところで一等には届きませんでした。
団体としては、城陽市が産地賞(全国で1番の高品質な産地に与えられる賞)を獲得しました。
なかなか一等を獲らせてもらえませんが、一等一席を獲得するまで挑戦し続けます。
さて、このお茶の品評会ですが、いったいどのようにして順位を決めているのでしょうか?
今回は、お茶の品質審査と鑑定方法についてお話しします。

お茶の優劣は、「美味しい」「香りが良い」など人の味覚や嗅覚に係る部分が大きいだけに、分析機器を用いた科学的審査では十分明らかにできません。
そのため、茶品評会では熟練の茶審査技術を持った審査員が官能検査によって、茶の優劣を比較し、審査を行っています。
抹茶の場合は、石臼で挽く前のてん茶の状態で審査します。

審査項目は、
1.外観(形や色)
2.香気(お湯で浸出した時の立ち上る香り)
3.水色(お湯で浸出した時のお茶の色)
4.滋味(お茶の味)
5.から色(審査はてん茶のみ。お湯で浸出した後の茶殻の色)
の5つの項目があります。
点数は一番良いお茶が200点満点で、減点方式で評価していきます。
今回全国茶品評会では、外観(40点)、香気(65点)、水色(20点)、滋味(65点)、から色(10点)の合計200点満点で審査されます。

⒈外観
お茶の良し悪しは、製造の適否や品質が外観に出ることから、まず外観(形や色)から審査を行います。
拝見盆と呼ばれる黒い角盆に適量の茶を入れ、お茶の形状と色を見ます。
てん茶の場合は、明るく冴えた濃緑で、赤みがなく、白っぽくないもの、触るとふわっとしていて柔らかな感触のものがよしとされています。
2.香気
白磁の審査茶碗に茶葉を3g入れて熱湯を注ぎ、ネットで茶葉をすくい上げて、その香りを調べます。
てん茶は青海苔のような香り(覆い香)と新鮮味が程よく調和した香りがよしとされます。
3.水色
白磁の審査茶碗に茶葉を3g入れて熱湯を注ぎ、5分間静置させた後茶殻を取り除き、色やにごり、底に溜まった沈殿物の多少を判別します。
てん茶は淡い黄青色で赤みが少なく、濃度感のあるものがよしとされます。

4.滋味
水色と同じ方法で茶殻をのぞいたあと、スプーンですくって口に含み、味を確かめます。
てん茶は、旨味と甘味(覆い味)が多く温和なものが優れているとされます。

5.から色
湯で浸出した後の茶殻の色調や均一性を見ます。
青く冴えた明るい色調で、染まりが均一のものが良いとされます。
全国茶品評会の上位ともなると、どれも非常にレベルの高いお茶揃いになります。
ですから、優劣をつけるためにもこのように細かな審査項目が設けられているのです。

お茶屋さんに行くと、全国茶品評会○位入賞茶など書かれているのを目にすることがありますが、これはそのお茶が先ほどのような審査の評価基準を満たしている良質なお茶だということです。
品評会での審査基準は、ご自信でお茶を選ぶ時の一つのポイントとしても役立ちますね。
でも、お茶の「美味しい」は人ぞれぞれです。
審査基準はあくまで品評会の基準ですから、ご自身が一番美味しいと思われたお茶が、その方にとって一番のお茶なのだと編集担当は思います。