コラム孫右ヱ門

歳時記vol.3 中秋の名月と月見の茶会


2015年9月16日

9月も半ばに入り、暑さが和らいで随分過ごしやすくなりましたね。
9月といえば、中秋の名月。
お月見の季節です。
フルムーン
旧暦の秋は7月、8月、9月ですから、中秋とは秋の真ん中、旧暦8月15日のことを指します。

現在の暦では、今年の中秋の名月は9月27日になります。
翌日の9月28日はスーパームーンで、今年一番地球へ接近する満月ですから、今年は例年よりも大きな中秋の名月が見られるようですよ。

日本では、「月を愛でる」風習は縄文時代ごろからあったといわれています。
日本神話や古事記に月夜見命(ツクヨミミコト)が登場しますように、太陽と並んで月は神聖なものと考えられてきたようです。
ススキ野原後に中国の仲秋節が伝わり、平安貴族の間で、月を愛でながら詩歌や管絃を楽しむ月見の宴が催されるようになりました。
平安貴族たちは、直接月を見ることをせず、池や杯に映る月を見て宴を愉しんだそうです。
水面の月なんとも優雅ですね。

茶道の世界では、「みたて」という月見の愉しみ方があります。
主人はお軸が持つストーリー、水差しや茶碗の形や色、道具の持つ意味、そういったものすべてを「お月さま」をテーマに合わせて設えます。
客人は実際に月が見えなくても、心の豊かさや五感で茶室に月を感じます。
それが「みたて」、日本人独特の美意識ですね。

さて、この季節、京都では平安時代より受け継がれた様々な観月の祭が現在も各所で行われています。
ここ京都山城地方でも、宇治の黄檗山萬福寺で「月見の煎茶会」が行なわれます。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA萬福寺は中国・明出身の高僧、隠元(いんげん)が建立した禅宗寺院です。
隠元和尚建物や仏像、儀式や精進料理に至るまですべてが中国風で、異国情緒溢れるお寺です。
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萬福寺は、煎茶に大変縁の深いお寺でもあります。
隠元禅師の渡来に伴い、当時中国文人の間に流行していた煎茶の風習が伝えられました。
そのことから、境内には「有声軒」という煎茶風茶席と庭園、全日本煎茶道連盟の本部があります。
煎茶道灯篭にも「煎茶道」の文字が見えますよ。

境内の「売茶堂」には煎茶道の祖、高遊外売茶翁(まいさおう)(1675−1763)が祀られています。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA売茶翁(まいさおう)は、上流階級の文化だった喫茶の風習を庶民にまで広め、その煎茶趣味を一つの世界を形成する煎茶道にまで導きました。
また、鴨川のほとりに日本初の喫茶店といわれる「通仙堂」という茶店を構え、時に自ら茶道具を担いで禅を説きながら、茶を煎じて各地に売り歩いたと言われています。

そんな煎茶の聖地、萬福寺で「月見の煎茶会」が行なわれます。

瑞芽庵流
黄檗売茶流
美風流
雲井流
小笠原流
方円流
二條流
一茶庵流
8つの流派がそれぞれ月見やお寺にちなんだお席を設えます。

萬福寺は蓮の花でも有名ですので、なんと蓮の花に煎茶を注いだお茶が出されたこともあるそうですよ。
ハス茶
「月見の煎茶会」は、お煎茶の作法を知らなくても誰でも気軽に参加できます。
異国情緒溢れるお寺での珍しい煎茶のお茶席に、足を運んでみるのはいかがでしょうか?

日 時 2015年10月3日(土) 14時30分~19時 雨天決行
会 場  黄檗山萬福寺
茶 券  3,500円 (入山料込・入席券3枚)
お申込や詳細については全日本煎茶道連盟のHPをご覧ください。http://www.senchado.com

実際に月を愛でるも良し、「みたて」を愉しむも良し。
秋の夜長、皆様はどのようなお月見を愉しまれるでしょうか?
今年の中秋の名月、素敵なお月見様が見られますように。